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第四回
「さあマダゴキに挑戦だ」

 いよいよ待望(人によるかも)の試食である。焼く、煮る、ゆでる、という三種類の料理法でマダゴキに迫ってみたい。

 具体的な料理に入るまえに、昆虫一般の料理法について簡単にふれておこう。揚げれば油の旨みで虫臭さも消え、サクサクした食感でいただくことができる。特に甲虫の成虫など外殻の硬い虫は揚げると食べやすい。初めて虫を食べる人たちにオススメである。ある程度虫食に親しんだら、茹でたり蒸したりして、その虫の持つ独自の味を味わってほしい。「揚げる→焼く→煮る→茹でる→蒸す」が虫料理のセオリーである。

 料理法についてはまた後々ふれることになるのでこのくらいにして、お待ちかねのマダゴキ調理に入ろう。飼育ケースのなかからこれぞという個体を選び出し、数日から一週間絶食させ糞抜きしておく。イナゴなども調理前に糞抜きしたほうがいいという人もいるが、稲科植物の葉しか食べないイナゴには臭みがほとんどないので、取りたてをそのまま食べても食味にそれほど変わりがない。ゴキブリの場合は少し違う(というか大分違う気がする)。前回もふれたがゴキブリは集合性が顕著である。その集合を促す集合フェロモンは糞に含まれている。ゴキブリ特有の臭みはこの集合フェロモンが発する臭気によるものではないか。したがってできるかぎり脱糞させたほうが食べやすくなるという道理である。

 こうして脱糞させたマダゴキを使っていよいよ料理に入ろう。以下三種類のメニューを用意した。

  (三種類共通の下準備)
1 3分間ほど下茹でする。
2 キッチンバサミで腹部を開く。
3 開いた腹部の白身に塩コショウをふり下味をつける。

●マダゴキのバター焼き
1 フライパンにバターをしいて中温で熱する。
2 マダゴキの開いた腹部にバターをぬる。
3 マダゴキをフライパンに入れて、腹部のバターが溶けるまで焼く。
4 ハシで殻から身をしごいて食べる。
*焼いても身はやわらかい。バターの香ばしさが虫の臭みを和らげてくれる。

●マダゴキの佃煮 1 鍋に適量の水を熱し、酒、砂糖、醤油、みりん、マダゴキを入れ、水気がなくなるまで中火で煮る。
*佃煮の方がバター焼きより長時間煮込むことと、なじみの調味料がしみこんで、いっそう食べやすくなる。

●マダゴキの赤カブ梅酢和え
(赤カブの漬け汁を利用する。)
1 マダゴキをゆでて、赤い漬け汁に30分?1時間漬ける。
*酢に漬けたことで臭みはほとんど感じられない。そのかわり組織が壊れていない感じで、食感はレアに近い。多少の苦みは消化酵素の味だろうか。白い身が淡いピンクに染まって見た目も美しい。

 マダゴキの食感をたとえるならば淡白な白身魚といえようか。ゴキブリのなかでは可食部が多いという長所はあるが、殻が硬いので丸ごと食べられないという短所もある。塩焼きして干物にするとか、あるいは燻製にしてもけっこういけるのではないか。今後の展開が楽しみな食材である。

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