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第十二回
「シカ肉活用のお話し」
シカ肉の活用

 シカ肉を活用するにあたり、諸々の問題が山積していると思います。

 一口にシカ肉と言ってもエゾシカとニホンジカでは全く肉質が違います。エゾシカは脂肪分が多くて、ニホンジカは脂肪が殆ど無いといえます。

 個人的好みはありますが、シカの脂肪は口の中に残るので嫌われているようです。

A,
 シカ肉をステーキや焼き肉にする場合、個体別に見て、成長しきったオスは硬くて、若いオスとメスが柔らかい。しかし、心配は要りません。成長しきったオスはシカ全体の10〜20%程度しかいません、
 そのオスの肉も牛脂肉或いは牛脂と一緒にミンチ肉すれば活用方法はあります。
 コロッケやハンバーグ、ミンチボールを考えて見たい。

B,
 若いオスやメスの肉でも部位から見た場合、ステーキや焼き肉やにする場合は背ローストと後脚だけしか活用出来ません。
 Aと同じようにステーキや焼き肉用に取った後の肉は醤油、砂糖、味醂、ショウガでゆっくり煮込んでいけば結構美味しく頂けます。煮込みシチューにも活用できます。
 それでも肉自体に筋が多く、丁寧に筋を取り除いていくと、とても多くの残滓が発生すること前提に考えなければなりません。

C,
 違法行為ですが、北海道などでは射獲したシカの背ロースだけを取り、後の残滓は放棄している事実が発生しております。
 冬の低温降雪時には分かりませんがが、春になり雪解けが始まると、シカの死体が散見され、
 猛禽類がそれを食べます。その中に銃弾の破片が残って居れば、猛禽類が肉と一緒に食べて鉛中毒になり死んでいる事実は見逃すことが出来ません。

シカ肉の安全性とリスク

A, シカのE型肝炎
 最近見つかったシカのE型肝炎が人に感染する可能性が心配されています。兵庫県下で感染の事例がありましたが、報道以外の報告では獲ってから数日経過した内臓を食べたとも言われております。肝臓の生食は古いものは止めておきましょう。古い肝臓や一度冷凍した物は解凍しても美味しくもありません。

B, 肝蛭症(カンテツ症)
 ウシ等に発生する肝蛭症と言う病気があるそうです。
 ウシの肝臓に寄生する吸虫が原因で肝臓に穴が開きます。過去に出猟した兵庫県淡路島で発生していると聞いた事があります。ウシの排泄物を肥料として、牧草やデイトコーン作ることは普通に行われておりますが、それを野生のシカが食べて感染するそうです。この病気はヒトにも感染します。肝蛭症が発生している地域のシカの肝臓は生食しない方が良いでしょう。
 また、そのような地域の山菜や野草は生食しない方が良いと思います。調理中のまな板も感染の原因に成りますので注意が必要だと言うことです。   

産地加工の途

A,
 シカを精肉にする場合、多くの残滓が発生することを前提に産地加工がベストだと考えます。
 有害鳥獣駆除等で捕獲したシカの上肉を地元のレストラン、焼き肉店、おすし屋、焼き鳥屋、食堂などで料理として出す。先ず、刺身や煮込みを試食して頂き、顧客を掴むようにしたいですね。

B,
 生産地のレストラン等で販売消費した余剰分をステーキ用、焼き肉用に真空パックにして、道の駅、ドライブイン、サービスエリアで地域外に販売する方法を検討すると良いかも、
ドライブイン、サービスエリア等のカレーに活用すると宜しいかと思います。

C,
 学校給食で活用する。
カレーやシチュウに良く合います。

後継者の育成

 狩猟経験者の高齢化と減少は留まる処を知らず、シカを解体処理、部位毎に肉の良し悪しを判断出来る方が少なくなって居ります。次代を担う若い方の育成が必要な事は関係者各位が痛切に感じているのですが、銃砲に寄る犯罪が報道メディアに載るたび、公安関係の規制も、社会の眼も厳しくなる一方で、狩猟を志す若い方が居なくなり、今後が憂われます。

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