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第十回
「落ち穂拾いのお話し」
落ち穂拾い
 

 ミレーの絵はお好きですか、中学校の頃から何となく好きでした。明るさも派手さもなく、印象に残らない絵ですが好きでした。

 「落ち穂拾い」の絵で拾っているのはおそらく麦だろうと思うのですが、背景には大きな荷車があり、山の様に積み上げた麦があっても、僅かな落ち穂を粗末にしない。農家の苦労が理解できる方は食べ物を無駄にしないでしょう。

 私も幼い時に田植えや稲刈りを手伝ったことがあり、僅かに残った落穂を拾った記憶があります。小さな田から拾い集めてもお茶碗に一杯程のお米ですが、それを粗末にしない、そのような躾を受けて育ちました。今の子供たちにはそのような感覚を持っているのでしょうか。

 幼稚園や小学校で稲作や稲刈りを経験した子供達だけでも、お米や食料を大切にする心が芽生えてくれると嬉しいですね。

現在の穀物穫入れ

 大規模農業では麦だけでは無く、コーンや豆類も殆どがコンバインを使って穫入れを行っている。大型のコンバインになると運転席は冷房付きだそうです。並列して走るトラックに直接収穫する風景はよく見かけられる。落ち穂拾いなど全くしない。こぼれ落ちる麦やコーン、豆類は全体の30パーセントになると言う話しも在りますが、それも折込済みで収穫されているのです。その30パーセントあったら世界中で飢えている人々がどれほど救えるかと思うと、勿体無いと思う気持ちを拭い切れません。

 大規模農業もコンバインなどの機械類購入と修理、燃料費など消耗品の費用を考えると経営は容易くないようです。

飼料としての穀物

 大規模農業で収穫された穀物の全てが人々の食料になるのではなく、その何十パーセントは牛、豚、鶏などの飼料となり其々の肉に変化します。麦は麦、コーンはコーンとして人々が食べれば、世界中から飢える人が居なくなりますが、やはり「人はパンのみで生きるにあらず」です。美味しいステーキやローストビーフも食べたい、牛乳、バターやチーズも、或いはフライドチキンも食べたい、美味しい豚肉も食べたい。それが人間の自然な欲望なのかも知れません。その結果、メタボや各種の現代病を心配したとしても、やはり穀物ばかりではなく肉も食べたい。

 
漁業の場合

 漁業の場合も大規模農業と同様のことをやっています。養殖漁業では背の青い魚を餌にしてハマチ、ブリ、ヒラメ、マグロ、タイなど高級魚を育てています。イワシはイワシ、サバはサバとして食べれば高血圧には良いと言う、それでも人の欲望には終わりが無く、ハマチもタイも食べたい。美味しいマグロも食べたい。私もその一人です。結果的にメタボを心配する救い難い人間なのです。

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