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第四回
「イノシシは美食家のお話し」
野食計画との出会い

平成19年は野食計画と出会う事が出来て、とても勉強になった年でした。
此れまで気にもしていなかった木がナツハゼと言うもので、花を咲かせ、実を付ける。その実がジャムに成るとは夢にも思わず、それ以後は山に行く度に目線を少し上げて歩いています。 そうして見るとナツハゼは思いのほか在るものですね、季節が過ぎれば花も見たい、実も食べてみたくなりました。他にもヤマイモの蔓を見れば「ムカゴは残っていないだろうか」、きのこが生えていれば「これは食べられるのだろうか」と真剣に考えてしまい、他の野草や山菜にも自ずから目を向けるようになった自分の変化が不思議な年でした。

年が暮れ、新しい年に改まっても、昨今は昔ほど季節を感じなくなって来たのは何故でしょう。 食料品にしても一年を通して、殆どの物が食べられるようになっているせいかも知れません。 私が若かった数十年昔は冷蔵庫も普及していなかったので、今よりは季節感があったように思います。

師走のタケノコ

筍(タケノコ)と言う字は、竹の旬と書くのですね。タケノコの旬ってやはり3月から5月でしょうか、しかし、年末12月頃の山へ行って見れば、イノシシがタケノコを掘り起こして食べている光景を見ることが出来ます。「真冬にタケノコ?」と思うかもしれませんが、地中ではタケノコが芽を覚まして春を待っています。

大きさは10cm足らずですが、イノシシは地表から20cm位の深さに在るもタコノコを掘り起こして居ります。それもピンポイント的に地中にあるものを見つけて掘り起こすのには驚きます。

イノシシは地中にある小さなタケノコの臭いを感じ取るのでしょうか、それとも小さなタケノコの発生が地表に変化を現すのでしょうか、何れにしてもイノシシに聞いて見なければ分かりませんが、イノシシは美食家です。 師走に10cm程のタケノコをもし、京都の高級料亭で食べたとしたらかなり高額のなるだろうなと下世話な思考を持ってしまった自分が恥かしかった。

タコノコ争奪戦

4月頃から5月初旬にかけてタケノコを多く収穫出来ますが、イノシシが居る山ではそうは行きません。夜間に殆どをイノシシに食べられて仕舞うのです。 その食べ方ですが、タケノコの中程だけを食べて、穂先や根に近い部分は食べ残すので驚きます。 美味しいところを知って居るのですね、中々の美食家ですよ。

夜が明けてからタケノコを獲りに行っても一本も残っていません。 お腹がいっぱいになって苦しくなったイノシシは山に帰らずに、竹薮で寝ているのにはハンターでも少ならず驚きます。そのような時は猟犬を連れて行って、イノシシを追い払って置けば翌日にはタケノコを収穫することが出来ますが、イノシシはまた直ぐに戻って来るので、タケノコの争奪合戦を演じる事になります。それも4月いっぱいです。5月に入ると流石にイノシシも飽きくるのか、タケノコを食べなくなるのです。他に美味しい物がたくさん芽生えて来るのでしょう。 イノシシが美食家なる所以です。

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