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メルヘンの野食歳時記第一回
「山菜取りをしてみよう!@」

個別の野食を紹介する前にまずはおさえておきたい山菜採りの基礎について紹介しておきたいと思います。山の幸を採る前にぜひ一読してみてください。

山菜の定義

山菜とは、広辞苑では「山に自生する野菜。ワラビ・ゼンマイなどの類」となっていますが、"野菜"という言葉に人工的なニュアンスが感じられて何となくしっくりきません。これ以降にも触れますが、山菜は"山"以外のあらゆる場所に生えています。そこで、これからは「現在、人の手によって栽培されておらず自然に繁殖しており美味しく食べられる種子植物・シダ類・地衣類のこと」と厳密に定義してみます。ちなみに、きのこは野菜には入りますが、山菜には入りません。

山菜採りの魅力

一.自然と五感で触れ合える
一.植物を覚えられる
一.いざという時役立つ


これらの項目は、単に個人的に思い付く限り並べてみただけです。山菜を採っていくなかで皆さんもそれぞれ魅力を発見していってください。

山菜採りに行くその前に

イ. 図鑑を買って種類を覚えよう


まず、採りに行く前にどの植物が食べられるかを知らないと話になりません。そのためにはまず図鑑を購入しましょう。きのこと違って図鑑によって同じ種類のはずなのに写真の見た目が全く違う!という事態はほぼ起こらないので一冊で十分です。良い図鑑のポイントとしては、一種あたり複数枚の写真が載っている(最低、食べごろの写真と成長しきった時の写真。あとでこれが効いてくる)・写真がキレイ・読んでも飽きない(これが意外に重要)ことでしょうか。最近は山菜の図鑑も数多く出版されているようなので自分に合う一冊を選んでください。 図鑑を買ったら次は山菜の種類を覚えましょう。図鑑を眺め続けていればそのうち覚えられますが、これでは効率が悪すぎます。手っ取り早く全体像を把握するためには、上位の分類群(ここでは科)ごとにその食毒の傾向を覚えるのが有効です。例えば、キク科は独特の香りがあり食べられるものが多いとか、キンポウゲ科は毒草が多い…とかです。同じ科なら外見上の特徴や食毒、そして味の傾向も似ているので(当たり前!)後は天下り的に覚えればいいのです。覚えるときは食べられる植物だけでなく、図鑑の後ろの方に載っている(はずの)毒草もおろそかにせずバランスよく覚えていきましょう。危険を避けるためにも毒草についての知識(似ている山菜の名前・中毒症状・致死量・中毒の原因となる物質)も必ず必要になってきます(その知識を悪用してはいけませんよ!)。図鑑で覚えた種の実物をその後野外で見ると記憶は完全に定着するはずです(たぶん)。


ロ. 場所を決めよう


"山"菜とは表記されますが、山菜は山だけでなく街中から浜辺にいたるまであらゆる場所に生育しています。最初のうちは、近場を歩いて目に付いた山菜を採るだけでいいでしょう。きっと、「こんな身近なところにも食べられる植物が」と驚くことでしょう。これも山菜採りの醍醐味の一つです。しかし、本格的にある特定の種を採ろうとすると採る場所を選ばなくてはなりません。たとえば、山菜の代表格であるワラビとゼンマイは生える場所が違います(しばしば混生しますが…)。ワラビは日のよく当たる乾いた場所、ゼンマイは湿り気のある場所に生えます。量を採ろうとする場合は似たような環境の場所ばかりに行けばいいでしょう。逆に種類を多く採るなら、異なる環境の場所を渡り歩けばいいのです。そもそも、これらに注意する以前に、私有地や採集が禁止されている場所では採ってはいけません。また、畑や林道沿いなど農薬がかかっていそうな場所も要注意。


ハ. 旬を見極めて


花の命と同様に山菜の旬も短いもの…。なにぶん新芽を食べるようなものだと、少しでも旬を過ぎれば伸びすぎて固くなり、食べられなくなることもしばしば。もちろん早すぎてもだめです。それを防ぐために、普段から季節の変化に気に留めて時季を見定める感覚を養っておくべきです(これには、おのずと経験と勘が必要になってきますが…)。身近な生物(ソメイヨシノとか)を指標にすると便利です。また、採集した日付もきっちり記録しておくと翌年以降役立ちます。


いざ山菜採りへ

イ.マナーを守ろう


資源には限りがあります。来年以降も持続的に採取できるように植物の再生能力を超えて全て採り尽くさないことが絶対のマナーです。株立ちしている場合は必ず数本程度残しましょう。採る量もちゃんと一度に食べきれる量だけにしましょう。旬を過ぎたものを残しておくことも資源保護につながります。また、山菜を採る場合は必ず可食部のみ採るようにしましょう。タラノキの新芽が欲しいからといって枝ごと切り取ってしまっては来年以降採集できなくなってしまいます。山菜として広く知られているようなものでも、個体数が減少し希少種となっているもの(カタクリ、ヤマユリetc)があります。このような種の根などの利用はできるだけ控え、もし見付けても見るだけに留めておきましょう。


ロ.採集道具はあなたの手


山菜を採るときは基本的に手で折り取ります。刃物もあったほうがいいですがあくまで補助的なものと考えてください。というのも、手で折り取れないような部分はほとんどの場合固くなって食べられなくなっているからです。採ったものを入れる袋は、蒸れてしまうのでビニール袋はできるだけ避けたほうが賢明でしょう。ビニール袋に入れる時は新聞でくるんでいれるといいでしょう。採ったものはできるだけ種類別に袋を分けると帰ってからが楽です。特に泥の付いたものと、付いてないものは一緒にしないように(後処理が面倒になる)。


ハ.決め手は"匂い"


外見で判断がつかない場合。最終的に頼りになるのは匂いです。図鑑の説明文にいいにおいがあるとか○○科特有のにおいがあるとか書かれていますが、これだけでは具体性がなくてよく分かりません。匂いについては実際に折り取って自分の鼻で嗅いでみないと実感できないものです。常に匂いを確認する習慣を付けておきたいものです。匂いもやはり分類群ごとに特徴があり種の同定の決め手になります(特にウコギ科、キク科、セリ科の香りは特徴的)。似ていると言われている山菜と毒草でも、匂いが全く異なることも多いのです。不快臭がするものは食べられないものと決め付けて構いません(逆は成り立たない)。


二.疑わしきは黒


自信のないものの同定は図鑑を片手に(ほとんどの図鑑はハンディサイズです)できるだけその場で行い、同定に自信がないものは迷わず捨ててください。初めての人はできるだけ詳しい人と一緒にやりましょう。自信のないものを食べて中毒すると死につながることも多々あるので、リスクは最小限にしなければならないからです。帰ってから同定してもいいのですが、その際は食べられるものと袋を別にして混ざらないように注意してください。


今回のコラムは以上です。次回をお楽しみに!!!

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